【アドベントカレンダー】simutransにおける「承認欲求」の解消法~過去の経験や反省を添えて~

≪この記事は、「Simutrans Advent Calendar 2025」のうち、12月20日分のものです。≫

adventar.org

 

初めましての方は初めまして。お久しぶりの方はお久しぶりです。
アドオン制作を手掛けたり、各地のサイトで投稿していたりしています、『テヌキ車両』と申します。

 

いつ頃simutransというゲームに出会い、どのような経緯でハマったのかは昔の事なのですっかり忘れてしまいましたが、その中で自分も是非アドオンを作りたい!まだsimutransに存在しない車両を追加してゲーム内で走らせたい!という『欲望』が沸き起こり、何もかも手探りのままアドオン作りを始め、気付けば自分でも作った記憶がないものが出てくるほど多数のアドオンを制作するようになり、今に至っております。
改造作品を含め、私が手掛けたアドオンを様々な形でご愛顧いただき、誠にありがとうございます。

 

さて、そんな私ですが、今に至るまで本当に色々な事がありました。

多くの方に励まされたり、なんだよこんな複雑な機器配置は!?と心の中で鉄道事業者に苦情を出したり、誰よりも早く『即出し』に成功してちょっと嬉しかったり。

その中で、simutrans歴が長い方はご存じかもしれませんが、私は過去に、コロナ禍に見舞われるより少し前の時期、一度私は「アドオン制作なんてもう二度とやらない!」「simutransなんて一切ごめんだ!」「二度と関わらない!」という感じの引退宣言をした挙句、一部のアドオンを削除し、その後半年から1年ぐらいの間、simutransに一切触れなかった時期があります。
そして、そのように宣言したにもかかわらず、あっさり何も釈明も何もないまま何食わぬ顔でsimutransのもとに戻り、今に至っております。


ずっと昔の話なのですが、その節は多くのユーザーの方々、信頼を置いてくださった方々には色々と多大な迷惑をかけてしまった事、この場をお借りしてお詫び申し上げます。
そして削除したアドオンについても、何を削除したのか全然覚えておらず、復旧が難しい状況です。本当に申し訳ないです。

 

今になって振り返りますと、このような暴挙に走ってしまった最大の理由に、『膨らんだ「承認欲求」が爆発してしまった』というのがありました。

記憶が少し曖昧ですが、確か当時の私は「pak64」サイズのアドオンを制作しては定期的に『日本語化wiki』や『simutrans実験室』など各地にアップロードを繰り返していた覚えがあります。
毎回様々な鉄道車両を題材にしたアドオンを作りつつ、心の中には「テヌキ」と言う名前に反して「これは自信作!」「絶対にダウンロード数は増えるはず!」と自意識過剰のような思いに駆られながら、投稿を続けていました。


ですが、何度『自信作』を投稿しても、表示されるダウンロード数は高すぎた理想に反して伸び悩んでばかり。
こんなのはおかしい、何で誰も注目してくれないのか、あれだけ苦労して作ったのに何故、ユーザーは私たちのようなアドオン作者をもっと崇拝するべきではないのか――あの頃の私の中で、そのような邪な感情が溢れそうになっていたのははっきり覚えています。
そのような愚痴を何度かtwitter(現:X)などで漏らしていた事も含めて。

 

そしてある日、「なんでアドオンのダウンロード数が一向に増えないのか」「どうして誰も自分に注目してくれないのか」という感じの愚痴をtwitterで漏らした時、どなたか忘れたのですが、それに対する反論を頂きました。
具体的な内容ははっきりと覚えていないのですが、当時の(勝手に自分の手で)追い詰められていた私にとって非常に辛辣でキツ過ぎる、でも今の私にとっては全くもって正論にしか思えない内容だった記憶があります。
それを見た時、私の心の糸のような物が文字通りプッツンと切れてしまい、その結果「simutrans引退宣言」「アドオンの一部削除」という手段に走ってしまった、という訳です。


今振り返ると、情けないやら何やら、黒歴史にでもしたいような話です。
ただ、「アドベントカレンダー」に初めて参加するにあたり、これだけは語っておきたいと思い、ここに記した次第です。

 

さて、ここまで酷い事態になるのはよほどの事態が無い限りないかもしれないですが、『simutrans』というゲームに関わる中で、何かしらの「承認欲求」を抱いてしまう、という経験は少なからず皆様も持っていると思います。
アドオンを作って投稿する、プレイ動画を撮ってサイトにアップする、マップの発展記録を自身のブログやXに記載してみる。
形は様々でも、simutrans関連で様々な情報を発信する皆様は全員とも作品を作る『クリエイター』の方々。
色々な活動をする中で、つい「もっとアドオンダウンロード数が増えればいいのに」「どうして動画再生数が増えないんだ」「なんで誰も私に注目してくれないんだ」「simutransで『覇権』を握っているのは自分なのにこれはおかしい!」などなど、『承認欲求』のようなものが心に湧き出てしまう事はあるでしょう。

 

先程まで過去の行いを懺悔(ざんげ)しておいてアレですが、私個人としては、ある程度の『承認欲求』を抱いても問題はない、むしろ抱くべきだろう、と思っています。
「アドオンダウンロード数を増やすにはどうすれば良いか」「もっと注目を集める動画にするには何が有効なのか」など、それらの欲求が生まれる要因を追求すれば、もっとより良いアドオンや動画の制作に貢献するはずだ、と考えているからです。
ですが、あまりにもそれらが行き過ぎると、独りよがりな考えに走ってしまい、周りの忠告にも耳を貸さなくなり、最終的に味方が一人もいなくなってしまう最悪の事態に陥ってしまうかもしれません。

 

そのような事態を防ぐためには、どのような『承認欲求』の発散方法があるでしょうか?
生憎私は動画を作った事が無いので動画制作についてアドバイスをする事は出来ないですが、経験上「アドオン制作」に関しては、以下のような方法がある、と考えています。

 

①話題の新車のアドオンを「即出し」してみる
各地の交通事業者(鉄道会社、バスメーカー、航空企業など)がプレスリリースで発表した様々な新しい乗り物を、早速作ってみる!そしてアドオン投稿サイトへ思い切ってアップロードしてみる!
simutransを始め、様々な交通シミュレーターゲームでよく見られる光景、これを「即出し(そくだし)」と呼びます。
話題の乗り物がいち早く遊べる、という注目度は間違いなく高く、それだけでもX(twitter)で反応を多数貰ったり、アドオンのダウンロード数も高まる可能性が高いかもしれません。

 

②まだアドオン化されていない車両を作ってみる
長い歴史を持つsimutransでは、現在に至るまで非常に数多くの乗り物がアドオン化されていますが、それでもなおカバーしきれていない車両は数多くあります。
私が主に手掛けている「pak64(pak.nippon)」だけでも、現存するJR車両や私鉄車両なのに未だに誰も制作していない、という事例が結構あるのが現状です。
そういった「欠けたピース」を狙って作ってみる、というのも1つの手でしょう。
個人的には、関東地方の大手私鉄第三セクター辺りの電車が皆から注目を集めやすいかもしれない、と考えております。

 

③建物を作ってみる
乗り物以上に、まだまだ網羅されていないのが「建物」。
特にpak64(pak.nippon)ではまだまだスーパーやデパート、家電量販店、カーショップなど、あらゆるジャンルが不足している印象があります。
「②」と同様、こちらもsimutrans界隈における重要な「欠けたピース」、注目度は高いと思います。
ただ、建物作りは乗り物づくりとはまた違った大変さがありますので、そこら辺は制作時に覚悟しておいた方が良いでしょう。

なお、これに関しては鹿せんべいさんも今年のアドベントカレンダー同じような提案をされているようですね。

 

④別の規格(pak128.Japanなど)のアドオンを作ってみる

今になって振り返りますと、過去の私が承認欲求を爆発させてしまった要因として、1つのアドオン規格に固持してしまった、と言う事がありました。

当時の私は「pak64(pak.nippon)」向けアドオンに重点を置きすぎるあまり、他の規格のアドオンへの苦手意識、敢えてはっきり言ってしまえば「敵意」のようなものを持ってしまい、挑戦できなかったのです。

ですが、一度足を踏み入れれば、最初こそ大変かもしれませんが、別の規格にも楽しみが宿っているというもの。

気分転換も兼ねて、別のアドオン規格に挑戦してみる、というのも1つの手ではないでしょうか。

 

そして、これは完全に個人的な感想ですが、simutransの多数のアドオン規格(pak64、pak128など)の中で、日本のsimutrans界隈を見た限り、特に賑わっている規格が「pak128.Japan」だと考えています。
実際、数多くのアドオンが投稿されている「Simutrans Addon Portal」でも、数ある規格の中でも代表格として扱われているのが「pak128.Japan」。

今年のアドベントカレンダーでも、「Simutrans Addon Portal」の運営者である128Naさんがまとめた記事において、pak128.Japan規格が最も盛り上がっている事を示す結果が出されています。

それにX(twitter)でも、この規格を使ったマップ画像やアドオン画像が多くの方から投稿されている印象があります。

つまり、「pak128.Japan」向けのアドオンを作って各地に投稿すれば、多めのダウンロード数が獲得出来たり、皆様のマップ画像(スクリーンショット)にアドオンが使われたり、自分のアドオンがあちこちに浸透している光景を一番堪能できるのではないか、という訳です。

ただ、当然ながらpak128、pak64(pak.nippon)など他の規格が「pak128.Japan」に比べて盛り上がりに欠けているという事では決してない、と考えております。

様々な規格の中から自由に選択して遊べる、というのはsimutransの強み。「pak128.Japan」に限らず、様々なアドオン規格に挑戦してみるというのも、承認欲求を満たす1つの手かもしれません。


ここまで、湧き上がる『承認欲求』を解消できる、ダウンロード数が伸びたり注目度が増えたりするかもしれないアドバイスを幾つかしてきましたが、それでもなお自分の思い通りにダウンロード数が伸びなかったりする場合もあるかもしれません。
と言うより、アドバイスしておいてアレですが、実際の所全て私の言った通りにやったとしても、構ってほしい!注目を浴びたい!という欲望はなかなか満たされないでしょう。
そこで、最後のアドバイスとして、以下のようなものを考えてみました。

 

⑤アドオンの最大の顧客を「自分自身」に設定する
分かりやすく言えば、「自分の好きなアドオンを自分の好きなように作る!」というもの。
当たり前の事かもしれないですが、いざダウンロード数や注目度が気になってしまうと、つい忘れてしまいがちな要素かもしれません。
自分が満足したからと言ってダウンロード数も注目度も伸びないし、意味がないのではないか……そう思ってしまうのも無理はないでしょう。
実際、小説や漫画、自作ゲームと言った創作ジャンルでは、自分自身の中で満足するだけでは独りよがりになってしまい、決して『良い作品』は生み出せない、というのが主流の考えですからね。

 

ただ、様々な経験をしてきた中で「simutrans」はそれらと少し異なるのではないか、と考えるようになってきました。

 

そもそも、simutransのアドオンは、はっきり言って小説や漫画、自作ゲームと言った「ダウンロード数で優劣が決まる」ようなものではありません
それ以前に、「優劣」と言う概念を決めるのは、大きな声では言えませんがよほどの事が無い限り難しいジャンルだと思っております。
そんな中、数少ない「優劣」を決めるであろう要素の1つが、そのアドオンを作りたい!欲しい!と考えた自分自身をどこまで満足させられるかどうか、ではないでしょうか。
自分勝手かもしれないですが、まず制作者自身にとってそのアドオンが「好き」でなければ、幾らダウンロード数が伸びても満足なんて出来ない、と考えています。

私が欲しいと思った!

私がそのアドオンの最初のユーザー!

私が良ければすべてよし!

私こそが一番の『顧客』」という、ちょっとワガママで自分勝手かもしれない自負があれば、少しづつダウンロード数や注目度は気にならなくなってくる、つまり『承認欲求』は満たされていくのではないか、というのが、長年アドオンを作り続け、時に勝手に離脱もしてしまった身として得た、1つの結論です。

 

とはいえ、口ではいくらでも言えますが、そう簡単にいかない『承認欲求』を抑えられないというのが難しい所。
クリエイターである以上、無限に湧き出てくる『欲求』とはうまい具合に付き合わなければならないのかもしれませんね。

 


さて、今回の「アドベントカレンダー」に寄せた文章は、ここまでとさせていただきます。
かなりの長文になってしまいましたが、皆様のsimutransライフに少しでも貢献できていれば嬉しいです。
そして、皆様の心の中の『承認欲求モンスター』と、程良い共存が出来る事を、お祈りいたしております。

 

最後になりますが、ここまで読んで頂きありがとうございました。
皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。

 

【追伸】
今回、アドベントカレンダー向けの記事を作成するためにブログを建てた&ブログ記事を作ってみたですが、ブログを構築する大変さを思い知らされました……。
慣れるまで大変というか、使いこなしている皆様って凄いです……。